「斑(ふ)」が浮くとは、よく研磨した表面にまだら模様に黒雲母が浮かび上がり、石の表面が二重にかすり模様の様に見えるという、庵治石特有の現象です。庵治石は、世界でも「花崗岩のダイヤ」と呼ばれ高く評価されており、その年間産出量は僅か3,000トン(墓石、灯篭用)程度と言われています。この希少性と特質から世界一の石といわれています。庵治石は細目と中目に分類されきめ細やかな模様の細目になるほど貴重品として扱われ、石質は、水晶と同じ硬度7を示すほど硬く、また、非常に風化に強く200年は彫られた字が崩れたり、変色したりしません。しっかりとケアをすれば代々受け継いでも、輝きを失いません。
庵治石は、香川県高松市の東に隣接する石の里は、山全体が花崗岩の層からなる八栗五剣山にいだかれた牟礼町・庵治町にまたがり、そこから産出されています。産出地が2つの町にまたがりますが、石の積出港が庵治にあったことから「庵治石」と呼ばれるようになりました。
6500万年前の火山活動により現在の瀬戸内海や中国地方の基盤が作られました。その後2000万年前の地殻変動で隆起し地表に現れたのが「庵治石」です。庵治石は平安時代後期から採石使用され、1339年,京都男山、石清水八幡宮の古文書に記載があります。遠く京都までも送り出されていたわけで、およそ1000年の歴史の中で注目を集めていたと言えます。江戸時代初期には高松城築城や大阪城大改築にも庵治石が使われたという史実があります。大正時代から昭和の戦前にかけて花崗岩の中でも特にかたい「庵治石」を見事に製品化する技法を得た石匠が、その技によって刻みあげる石彫品は、「庵治石」と共にその名を全国に轟かせました。現在で世界一希少な石材として知られるようになりました。
|